未曾有の大災害となった東日本大震災を経験した本市は、未来を見据え付加価値を創造する「より良い復興」を目指し、防災集団移転による住宅再建やかさ上げ道路の整備など、災害対応力を強化するための基盤整備を進めてきたほか、生活の再建や新たなふるさとでのコミュニティづくりなど、被災された方々が希望を持って前に進むことができるよう、取り組んでまいりました。
2015年3月に本市で開催された第三回国連防災世界会議では、世界の防災指針として東日本大震災の経験と教訓が取り入れられた「仙台防災枠組」が採択され、2030年までの15年間,世界の国々がこれに基づいて防災・減災に取り組んでいくこととされています。「仙台防災枠組」には、本市が目指し実践してきた復興と方向性を同じくする「より良い復興」の考え方が示されたほか、今後の防災・減災の推進に向け、国や自治体といった行政機関だけでなく、市民や企業、学術研究機関など、多様な主体(マルチステークホルダー)の参画と連携が重要と明記されています。
「仙台防災枠組」採択の地である本市には、大震災の経験や教訓、「より良い復興」の推進力となった市民や地域の力を世界に向けて発信していく責務があります。震災の記憶を長くとどめ、経験や教訓を今後の防災へ生かすためには、マルチステークホルダーによる防災・減災の取り組みを継続することに加え、これらを未来へつないでいくことが最も重要です。
これからも、本市は「防災環境都市・仙台」として快適で防災性の高いまちづくりを進めていきますが、その本質は108万市民一人ひとりの貴重な経験と知恵を発信・伝承していくことにあります。私たちとともに防災の未来を考え、仙台らしい独自のコンテンツを創り上げていきましょう。
仙台市長 郡和子