3月4日(土)に仙台防災未来フォーラム2023内で「環境フォーラムせんだい2023」が、3年ぶりに通常開催される。同フォーラムは、2001年の仙台開府四百年記念事業として開催された環境国際会議内での出展を第一回として、環境教育・学習を推進する団体「FEEL Sendai」の主催で仙台市の協力のもと毎年開催してきた(令和2年度、令和3年度は新型コロナ感染拡大防止のため中止)。来場者が楽しみながら環境について学べるイベントを目指している。今回は「環境フォーラムせんだい2023」の実行委員長を務める伊藤潤一さんを取材した。
▲環境団体「TSALL東北」の伊藤潤一さん
伊藤さんは、東北大学工学部の電気情報物理工学科で学ぶ大学3年生。環境団体「TSALL(ティーエスオール)東北」のメンバーとしても活発に活動を続けている。
TSALL東北は、東北大学の学生を中心に結成された団体で、宮城県川崎町の里山地域を拠点に、農業、林業、里山保全の活動を行っている。「ここ数年は苗木を育て山に植樹を行うことをはじめ、『育樹、植樹、活樹』のコンセプトを広めることに力を入れている。木を植えてただ終わりにするのではなく、間伐材を生かすなど活樹の観点を広めていきたいという思いがあり、薪割をしたり、木工作などの体験型イベントを通して理解を深めたいと考え活動しています」。
▲育てた苗木を植樹
昨年度、FEEL Sendaiの事業「[環境社会実験]未来プロジェクトin仙台」の中で、TSALL東北の『育樹、植樹、活樹』の体験企画を実施したことから両団体の間につながりが生まれ、伊藤さんに実行委員長の声がかかった。
これまで伊藤さんは、出展する各団体の代表の方々と月1回程度オンライン会議を重ねて、全体企画の案やどんなテーマで進めるか等を話し合ってきた。そこで決まった今年のテーマが「環境も防災も~かんきょうアラカルト~」である。「今年は仙台防災未来フォーラムの中での開催なので、環境のことだけに特化せず防災との関わりも色々と考えよう、という意味を『アラカルト』という言葉に込めました」と伊藤さん。「特に今回は環境について幅広くとらえたイベントになるので、動物の飼育をしている団体や、脱炭素や省エネに取り組む団体等、普段それぞれの活動の中では関わることの少ない皆さんとも団体同士の交流ができそう」と期待に胸を膨らませる。
当日環境フォーラムでブース出展するのは全部で20団体。その中でTSALL東北は今まで行ってきた植樹活動を通じて里山の持つ力などを紹介する。木材利用を肌で感じてもらう体験展示として木材工作のブースも設ける予定だ。伊藤さんは「里山の適正な管理には、自然を守るという環境的な側面のほか、土砂災害防止につながる保水機能の維持や、野生動物と人里との境界づくりなどの観点もあることを知ってもらえる展示にしたいです」と出展にかける思いを語った。
また、環境フォーラムは3つのステージ発表も見どころのひとつ。中でも来場者参加の「環境〇×クイズ」は注目だ。問題は出展団体それぞれが1問ずつ考えたもので、各団体の特色が出ていて思わず『へえー!』と声を上げたくなる内容とのこと。「簡単な解説を入れる予定なので、クイズだけでもどんな団体が参加しているか分かっていただける内容です。楽しみながら環境のことについての知識もつけていただけるような時間になるといいなと思っています」。
もう一つ、全体企画として会場に設置されるのが「かんきょうの木」だ。大きな紙に描いた木に、来場者が考える“わたしの杜の都スタイル”(普段行っている環境にやさしいこと)を付箋に書いてもらって貼り付けていくという参加型の企画。少しずつ葉や花を茂らせていき、フォーラムが終わるころには、いろどり豊かな「かんきょうの木」にしていきたい、と伊藤さんたちは意気込んでいる。
▲環境フォーラムで会場に設置する「かんきょうの木」を制作
最後に伊藤さんは「『かんきょうの木』が葉や花でいっぱいになるくらいに、いろんな方に参加していただけたらうれしいです。この1日を皆さんが環境について考え、知るきっかけにしたいので、これから準備を着実に進めていって、一人でも多くの方に来場していただけるよう、がんばっていきます」と力強く話した。
家庭で備えよう・考えよう
・環境を守る事は防災にもつながる。環境の視点も意識してみよう
・環境にやさしい事とは何かを考えてみよう