防災環境都市・仙台 仙台市では「杜の都」の豊かな環境を活かしながら、
災害に強いまち「防災環境都市づくり」を進めています。

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防災環境都市・「ステークホルダー」編

快適で防災力の高い都市「防災環境都市づくり」を進める仙台市では、東日本大震災の経験や教訓を未来の防災につなぐため、発表やブース展示、ワークショップなどを通じて市民が防災を学び、日頃の活動を発信できるイベント「仙台防災未来フォーラム」を2016年から毎年開催している。2022年3月の同イベントで「総合学園ヒューマンアカデミー仙台校」の学生たちが企画し作り上げた「エシカル・サステナブルファッションショー」が注目を集めた。2023年のフォーラムでもステージが予定されている。ステージに向けた授業の様子や、学生たちや講師が防災とファッションに込める思いなどを紹介する。

学生が取り組む!新たなファッションショー

3月に開催された仙台防災未来フォーラム2022での初ステージ▲3月に開催された仙台防災未来フォーラム2022での初ステージ

3月に開催された仙台防災未来フォーラム2022での初ステージ▲3月に開催された仙台防災未来フォーラム2022での初ステージ

SDGsへの取り組みに社会の関心が高まる昨今、「サステナブル(持続可能な)」や「エシカル(環境・社会・地域に配慮した考え方や行動)」という言葉も身近に聞かれるようになってきた。エシカル・サステナブルファッションの一例として、素材にオーガニックな植物を用いたものやリサイクル原料で作られた服などが挙げられるが、ショーでは「防災」の視点も取り入れたファッションを披露。2023年3月のフォーラムで再びステージが決まり、同校のファッションカレッジとビジネスカレッジから参加する16人の学生たちがショーの企画に臨んでいる。その授業「ファッション表現」の様子を覗いた。

「防災」と「ファッション」を結び付ける取り組み

「ファッション表現」の講師を務める松橋穂波さん▲「ファッション表現」の講師を務める松橋穂波さん

授業を担当する講師はモデル事務所「epi&company」代表取締役の松橋穂波さん。松橋さんは、大学生が自ら企画・運営、出演を担うファッションショー「東北ミスキャンパスコレクション」を立ち上げた経験を持ち、現在はモデル事務所のほかプロモーション、マーケティング、キャリア支援など多角的に事業を展開している。

「ファッション表現」の講師を務める松橋穂波さん▲「ファッション表現」の講師を務める松橋穂波さん

この日はまず、松橋さんが外部講師として招いた地域活性プロデューサーの柴田一生さんが「さまざまな取り組みから考える防災」と題し講義を行った。柴田さんは、平常時のリスクマネジメントの重要性について説明。「近年防災に必要な要素の変化は激しい。今後はレジリエント(しなやかさ)が重要なキーワード」と話した。さらに具体的な事例についても触れ、「日常におけるリスクマネジメントを重視することは、災害時、社会の迅速な回復につながる」と述べた。学生たちは真剣な面持ちで耳を傾けノートを取っていた。

受講する学生の1人、中川真希さんは、2022年のファッションショーにも企画から参加した。初めは防災とファッションの結び付け方をイメージ出来ず、とまどったと話す。「でも先生方から少しずつヒントをいただいて、反射板を装飾に使うという方向性を見出せました」。ショーをきっかけに、防災だけでなく、エシカル、サステナブルについても意識の変化があったという。「SDGsも防災も難しいことではなく、身近なところにあると実感できました。2023年、私は2回目ですしメンバーも増えたので、一歩進んだものにして達成感を味わえるようがんばります」と意気込んだ。

日常に溶け込む防災をファッションで発信

エシカル・サステナブルファッションショーで発表する学生▲エシカル・サステナブルファッションショーで発表する学生

講師の松橋さんは、防災やSDGsを“やらなければいけないこと”と捉えない方向へ、学生たちを導く。そのために外部講師の話を聞くことで視野を広げたり、実習と称して学生たちと市内のアパレルショップを見学したりと、工夫を重ねてきた。

「意識せず買ったものが防災に役立つとか、エシカルにつながっていたという状態を目指したい。中でもファッションは自分の好きなもの、おしゃれなものじゃないと身につけたくないと思うんです」と消費者心理を交えて話す。それを踏まえてこの日、松橋さんは「日常に『防災』をファッショナブルに取り入れる」を次回のブランドコンセプトとして学生たちに提案した。その背景には、2022年のショーでコラボした防災×ファッションを提案するアパレルブランド「M-ZERO」から受けた刺激がある。「耐火性に優れた生地を使うなど、災害時に身体を守ってくれる機能がありつつ、デザインがかっこいい。おしゃれだから欲しいと普通に思える商品でした。そんな風に日常に溶け込んでいる防災を学生たちに意識してもらいたいんです」。

エシカル・サステナブルファッションショーで発表する学生▲エシカル・サステナブルファッションショーで発表する学生

2年目の挑戦となり、企画を通して学生たちの防災に対する理解も深まってきた。「まだ構想中ですが、衣装デザインもいいところに目を付けていて、2022年の経験が成長の糧になっていると思います。今回はビジネスカレッジの生徒もメンバーに入ったので、ビジネスの視点からも学びが得られることを期待しています」。学生たちが発想や経験から得たものを咀嚼し表現してくれることを松橋さんは願っている。

家庭で備えよう・考えよう

・普段着ている衣類の中に災害時に役立つものがあるか見直してみよう(難燃素材、蛍光色の柄やマーク等)
・服を買う時に防災の視点を入れて考えてみる

 

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