防災環境都市・仙台 仙台市では「杜の都」の豊かな環境を活かしながら、
災害に強いまち「防災環境都市づくり」を進めています。

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防災環境都市・「来て・見て・体感」編

仙台市の観光スポットを訪れた際に新たに発見した、復興や防災についての気付きを紹介しています。

 

仙台の魅力、新たに発見~楽しみとともに「防災」を学んだ沿岸スポットでの半日

「仙台の学生生活は楽しいけど、まだまだ知らない街の魅力があるのでは?」

そう考えた仙台の大学生、大友愛海(おおともまなみ)さんと鹿股とほこ(かのまたとほこ)さん。リサーチしてみると、市内にフルーツ狩りができる観光農園があることを知りました。「公共交通機関で行けるね!行ってみようよ」。海に面した仙台市東部に行ってみることにしました。

 

1年を通して果物狩りができる「JRフルーツパーク仙台あらはま」

まず目指したのは、若林区荒浜にある「JRフルーツパーク仙台あらはま」。仙台駅から地下鉄東西線に乗り荒井駅で下車。市営バスに乗り換えて約15分なのでバス停を探していると、駅のすぐ脇に電動アシスト自転車のシェアサイクル「海手(うみのて)サイクル」を発見。「いいお天気だから断然自転車でしょ」。スマホで手続きして、さぁ出発!

荒井駅から利用できる電動自転車「海手(うみのて)サイクル」(ヘルメットは持参)▲荒井駅から利用できる電動自転車「海手(うみのて)サイクル」(ヘルメットは持参)

住宅地を抜け田園地帯へ入り、東へ向かうにつれて空が広くなってくるとフルーツパークあらはまに到着。イチゴ、ブドウ、ナシ、リンゴなど8品目150品種以上を栽培する広大な観光農園で、ほぼ一年を通して果物狩りができます。この日案内してもらったのはリンゴ園。「リンゴだけで34品種あります」との説明に二人ともびっくり!ちょうど旬を迎えた「奥州ロマン」と黄色い「シナノゴールド」をもぎ取りました。「お尻まで色づいているのが熟しておいしいんだって」「わぁ、すごくいい匂い!」二人のテンションも最高潮。

同園は2021年のオープン以来リピーターも増え、最近では週末の予約が取りづらいほど人気だとか。職員の郷内幸美さんが「東日本大震災の前、この場所は約200世帯が暮らす集落でした」と解説してくれました。「津波で被災し、人が住めない災害危険区域に指定された土地に賑わいを取り戻そうと、観光果樹園が作られました。当初は土壌改良に苦労しましたが地道な取り組みを重ねて、今は豊かに実をつけてくれます」。

気に入ったリンゴを自由に摘み取りできます▲気に入ったリンゴを自由に摘み取りできます

荒井駅から利用できる電動自転車「海手(うみのて)サイクル」(ヘルメットは持参)▲荒井駅から利用できる電動自転車「海手(うみのて)サイクル」(ヘルメットは持参)

気に入ったリンゴを自由に摘み取りできます▲気に入ったリンゴを自由に摘み取りできます

津波被害をリアルに伝える震災遺構

「このあたりは津波がきたんだね」と鹿股さんがつぶやくと、大友さんも「たくさん家があったなんて想像できない」。二人はふと、ここへ来る途中に「震災遺構仙台市立荒浜小学校」の前を通ったことを思い出しました。「行ってみようか」。自転車ならわずか2,3分の距離です。

破損した天井や壁がそのまま残されている1階の教室▲破損した天井や壁がそのまま残されている1階の教室

海から約700m内陸にある荒浜小(現在は閉校)は震災の津波が2階まで押し寄せ、児童と教職員、住民ら320人が屋上へ避難し、ヘリコプターで救助されました。仙台市は被害状況と当時の様子を後世へ伝え、防災の意識を高めてもらうため校舎を遺構として公開しています。この場を初めて訪れた二人。「私は小3だったの。妹と学校から帰る途中で地震にあって、家に入るのが怖くて庭で親が帰ってくるのを待っていた」と大友さんは当時のことを思い出したよう。鹿股さんは「あの日から私は妹とケンカしなくなった、家族がとても大切だと気付かされた日」と話しました。

地図から防災を考えるコーナー▲地図から防災を考えるコーナー

破損した天井や壁がそのまま残されている1階の教室▲破損した天井や壁がそのまま残されている1階の教室

地図から防災を考えるコーナー▲地図から防災を考えるコーナー

駅直結で便利 記憶をつなぐ交流施設

帰り道は海を背に、地下鉄東西線荒井駅まで自転車をこぎます。「山がきれいに見えるね」「気持ちよくてどこまででも行けそう!」。電動アシストのおかげで楽々到着。駅舎の中で「せんだい3.11メモリアル交流館」の表示を見つけました。入ってみると壁いっぱいに掛けられた木製の立体地図。今しがた訪ねた荒浜地区も載っています。色分けされた「津波浸水地域」を見て二人は、「こんなに内陸まで津波がきたんだ」と被害の大きさを実感しました。

たくさんの付せんが貼り付けられた沿岸部のイラストマップ▲たくさんの付せんが貼り付けられた沿岸部のイラストマップ

2階には、仙台市在住のイラストレーター・佐藤ジュンコさんによる沿岸部のイラストマップが展示され、たくさんの付せんが貼り付けられています。来館者が昔の思い出や感想を書いて貼っていくそう。展示室では発災から復興への軌跡が写真で紹介され、元住民で現在施設職員として働いている花淵さんからお話を聴くことができました。津波のこと、避難所での暮らし、抱えてきた思い、今思うこと……。じっと耳を傾けた二人は「前向きになれるまでにどれほどつらさを乗り越えたか、その過程を直接聞いたのは初めて」「新聞やテレビだけでは感じ取れないことがたくさんあって、来てよかった」と話しました。

震災前から震災直後、そして復興の様子を写真で学べます▲震災前から震災直後、そして復興の様子を写真で学べます

仙台市沿岸部に行ってみると意外にアクセスが良く、楽しめる施設や防災の学びがあることを発見した二人。「次はイチゴ狩りかな、生で食べるイチジクも興味ある!」「そうだね、海沿いの自転車用道路も走ってみたいな」。仙台の楽しみが増えたようです。

たくさんの付せんが貼り付けられた沿岸部のイラストマップ▲たくさんの付せんが貼り付けられた沿岸部のイラストマップ

震災前から震災直後、そして復興の様子を写真で学べます▲震災前から震災直後、そして復興の様子を写真で学べます

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