防災環境都市・仙台 仙台市では「杜の都」の豊かな環境を活かしながら、
災害に強いまち「防災環境都市づくり」を進めています。

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熊本へ繋いだ支援ノウハウと、被災者の生活・就労支援

一般社団法人
パーソナル・サポート・センター(PSC)
事務局

今藤 雄さん

1975年塩釜市生まれ。
主に被災者の就労支援や、職を得るまでの準備段階としての中間就労支援のほか、仮設入居者の転居支援も行う。

一般社団法人
パーソナル・サポート・センター(PSC)
相談員

新沼鉄也さん

1958年岩手県大船渡市生まれ。
生活困窮者の生活・自立支援をベースに、被災者の生活相談から自立までの課題解決をサポート。

刻々と変化する被災地ニーズを捉え、きめ細かく支援。

熊本では東日本大震災の経験がどのように活かされましたか。

新沼
新沼4月28日に炊き出し道具など一式を車に積み込み、一般社団法人パーソナル・サポート・センター(PSC)の構成団体メンバーらと共に熊本へ向かいました。現地では既に地元の行政やNPO等が支援活動を行っていましたが、全壊・半壊した家屋が点在しており、ニーズが見つけにくい状況でした。そこで避難所近隣の車中避難者等にも聞き取りを行い、要望のあった公園などで炊き出しを行いました。東日本大震災時、支援が行き届かない場所を入念に調査し、きめ細かい活動を行ってきたノウハウが、熊本でも活かされたと思います。

炊き出し活動の様子炊き出し活動の様子

今籐
5月13日から6月15日まで、熊本と仙台を何度も往復して支援に当たりました。東日本大震災時もトラックに支援物資を積み込み、被災三県の沿岸部のお寺や公民館などの小規模な避難所を回り、ニーズを聞いて翌日には食糧や支援物資を届ける活動を行いました。この経験が、今回の熊本支援にも役立ったと思います。市内の避難所や区役所を回り、状況を聞き取りながら、刻々と変化する段階毎に必要な支援を拾い上げ、行政や支援団体と共有し、その後の活動に役立てていくなどのコーディネートも行いました。

さまざまな支援団体と組織を超えた連携と情報共有を実施。

他の支援団体との連携や情報共有はどのようにされていたのですか。

新沼
熊本に入る際は、現地の災害支援ネットワーク団体である「よか隊ネット」等と連絡をとりながら活動しました。また5月4日には、「NPOくまもと」と「全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)」が開催する熊本地震支援団体の情報共有、マッチングの場である「熊本地震・支援団体火の国会議」にも参加しています。この会議で、炊き出し支援や避難所運営、がれき撤去、物資支援、医療等の情報を、熊本県内外のNPO・NGO等、政府から末端のボランティア団体まで共有できたことは、大きな成果だと思います。

熊本地震・支援団体火の国会議の様子熊本地震・支援団体火の国会議の様子

今籐
私は主に支援ニーズの多かった北区で活動をしましたが、火の国会議では、毎日各団体がその日の出来事や次の活動計画等の情報を共有することで、より効果的で無駄のない活動が出来たと思います。これは、東日本大震災時に連携や情報共有が徹底しきれなかった反省を踏まえた改善のひとつだと思います。また北区には仙台市から派遣された職員の方も多く、「チーム仙台」として支援活動ができたことも良かったですね。
 

寄り添い、ともに生活再建を目指す姿勢を熊本に。

今後、熊本に伝えたい取り組みや課題はありますか。

今籐
PSCは生活困窮者の生活及び自立支援を行ってきた「ワンファミリー仙台」をはじめ他のさまざまなNPO等と連携して立ち上げた市民団体です。設立の一週間後に発生した東日本大震災直後から被災者支援に奔走し、同年に仮設住宅での見守り支援事業、翌年には就労支援事業を立ち上げました。現在も被災者が生活を立て直すまでのさまざまな活動に取り組んでいます。
新沼
見守り支援は、震災から3ヶ月後に始めた事業で、仮設住宅や借上住宅で暮らす人を支援するため、被災者を「絆支援員」として雇用し、仮設住宅等の入居者宅を巡回し、心のケアと生活のサポートを行う取り組みです。
熊本でも現在、仮設住宅の建設やみなし仮設住宅への入居が進んでいますが、点在するみなし住宅等には支援の手が届きにくく、見守り等も難しいことを地元の支援団体等に伝えています。また復興が進むにつれ、被災者の方も自分の要望を伝えにくくなっていきます。そうした見えないニーズを汲み取る事も、非常に大事だと思います。
今籐
仙台では現在、仮設住宅やみなし仮設から復興公営住宅等への転居が進められていますが、特に高齢者の方が転居の際に必要な保証人、緊急連絡先をつけることができず苦労されているケースが多く、個別の状況やニーズに応じた、生活再建への支援が必要です。
新沼
震災で家や仕事を失った方が生活を立て直すのは、容易なことではありません。震災をきっかけに、それまで内在していた家族関係や障害等の諸問題が露わになることもあります。被災者が置かれている状況や思いをきめ細かく把握し、次に必要となる支援を予測しながら、行政サービスだけでは対応が難しい支援を行うことが私たちの役割だと考えています。行政や医療・福祉等の各関連機関との連携・協働を図りながら、不安を抱えている被災者の生活・就労を支援し、ともに自立までの道を歩む取り組みが、熊本へ、そして全国にも拡がっていくことを期待しています。

 

一般社団法人パーソナル・サポート・センター

東日本大震災直前の2011年3月3日に設立。 < br/>NPO法人ワンファミリー仙台、仙台弁護士会有志、みやぎ生活協同組合など、さまざまなNPOが連携し、生活困窮者や被災者の生活再建・就労支援を実施。
TEL:022-399-9662 E-mail:info-kizuna@personal-support.org    ホームページ:http://www.personal-support.org/

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